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なかなか下がらない米国の物価

10日に発表された米国の消費者物価指数は、コア指数が前年同月比+3.8%となり市場予想を上回りました。翌日発表された、米国の卸売物価指数はヘッドラインが+0.1%ポイント市場予想を下回ったものの、コアは予想を上回っており、物価の上流部門でも物価の下方硬直性が見てとれます。米国長期金利の上昇を受け、ドル円は153円を突破しました。


FRBの6月利下げ観測はまたも後退しそうです。FRBスタッフによるインフレ予測がなかなか当たらないのは物価の下方硬直性を確認しきれていないからでしょう。中国経済との連動を弱めている日米は中国デフレの影響を受けにくくなっています。コロナショックに起因した生産面における供給制約によるグローバルな物価上昇は一巡したものの、米国では製造業に遅れ上昇してきたサービス部門の上昇圧力は続いています。決済手段のフルデジタル化などもCPIに反映されづらい上昇圧力となっているかもしれません。


日本では2000年にゼロ金利を解除しました。当時の大蔵省は、消費者物価指数に上方バイアスがかかっているなどの理論を材料に、日銀の早期ゼロ金利解除を牽制したい立場にありました。指数の上方バイアスに関する調査書は末席にいた自分が指示を受けまとめ採用されました。自民党の議員は金問調で日銀の白川審議役(その後総裁)に圧力をかけたものの、金利ののりしろにこだわる日銀は解除に踏み切ったことが思いだされます。


米国のFRBが早期利下げにこだわる固有の要因としては、選挙をにらんだ大統領からの圧力が挙げられています。物価、雇用などの重要指標に加え、選挙の票読みは政策変更要因の変数としての役割を高めています。欧州のECBは、一足早く、利下げに動きそうです。デフレ気味の中国経済との連動性が強いドイツ経済は軟調に推移しています。


米国、中国、欧州経済の中で、金融政策がよみづらくなっているのは基軸通貨国である米国です。思惑をめぐりグローバルな金融市場のボラティリティーは数か月間高い状態にありそうです。


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