円安傾向、進行中の可能性
円安傾向が続きます。1971年の1ドル360円の時代から、24年後の1995年に1ドル79円台まで円高が進行しました。今はピークからの29年前比で対ドル価値約50%となる円安水準にあり、一つの節目にあります。
通貨安による物価高は一般市民の生活苦や輸入物価からの影響を受けやすい中小企業にマイナスの影響を与えます。一方、輸出産業や宿泊、飲食、交通などのインバウンド関連産業にはプラスです。円安により体力がついた企業は新規設備投資や構造改革を進める時期でしょう。
労力を注げば相対的低価格、国際競争力の上昇により外貨を稼ぎやすい自力本願的な円安と、外国人材をひきつけ、内需を喚起し、景気をよくする他力本願的な円高のどちらがいいかについて、勤労をよしとするなら前者に、今後20~30年の人口動態を考えれば後者になるのかもしれません。
現実的な政府対応として、円安だから、円安メリットの大きい産業に資源を集中させるべきか、円安で苦しむ企業や消費者を考慮して円高誘導すべきか、国家が公平で公正な仲裁者であろうとするかぎり、過度な変動に配慮を示すくらいにとどめておくべきなのでしょう。
とはいえ、国力を緩く反映するといわれる通貨の実力について、全体の維持、名誉と自尊の維持のため、円安を遅らせるべく意思の存在は、民族として優勢なうちに働くものだと思われます。
頭脳、筋肉というよりは血液循環のコントロールにたとえられる金融政策に頼らないことは本質的対策です。円安に強い経済構造の構築を政策目標にする、すなわち、復権に向けた世界的半導体工場の建設、ITを積極活用した観光政策など、現状政策の維持、強化、生産性を底上げするIT産業の育成などは依然として軸と見られます。
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