稀な時代
1.世界経済
世界主要国の6月に発表された製造業PMI指数は急速な回復が見られます。今年4月を底に各国景況感は改善しています。年後半の主要国経済は、コロナ第2波への対応が大きく左右しそうです。
感染拡大が懸念される国々では部分的なロックダウン、休業要請が検討されています。2度目の大規模なロックダウンを実施した場合、事態は厳しすぎる、と長期的に考え、多くの事業者が廃業を選択しそうです。センチメントや雇用に深刻な影響を及ぼします。また、ソーシャルディスタンスの習慣は、続くほど対応しても多くの娯楽、飲食産業が斜陽となり、人々の楽しみもなくなります。経済を考慮した部分的な対応は主要国の主流になりつつあります。その場合でも、今年10-12月期の景気は弱含むとの見方を維持します。
2.国内の課題
これまで明らかになったことは、インバウンドや貿易活動は経済に不可欠であるものの、以前のようには計算できないことです。
資源小国の日本が輸入のための外貨を稼ぐにあたり、大企業が依然として基幹であることにかわりはないものの、研究機関、中小企業、ベンチャーの役割は増すと考えられます。
短期はコロナ感染、デジタル化対策であるとし、長期的には、多くの高度技術を持つ中小企業の経営者が高齢化により事業継承を迫られる中、先端技術のIT、AI化、後継者探し、資金面での支援などにより、ブラッシュアップして競争力を高め、廃業を回避し存続させることが求められています。海外製造業機能を一部回帰させ、観光、娯楽産業などでの雇用吸収力低下を補うことは、消去法的にも選択肢に残ります。
中央によるかつての太平洋ベルト地帯構想の第4次産業革命版、もしくは地方自治体主導による産業復興などが期待されます。教育の強化やIT化に加え、製造業を基軸とした地方のあり方を見直すタイミングにありそうです。インバウンド再開の可能性も睨み、漸進的な取り組みが期待されます。そのほか、インフラ維持費、高齢者が減少した高齢社会となる30年後の人口動態、一極集中しないことと効率化の両立、などもポイントとなりそうです。
3.歴史的展望
私見として、平安→戦国→江戸と中央集権のはざまで地方分権は発生し、その数百年の周期は、海外列強情勢、技術革新の波の重なりで動き、都度、独自文化の発展、宗教政策などが後続します。
中央集権下での地方の独自性発露期が文化的、経済的繁栄の黄金時代とすれば、現在は、米中覇権争い、第4次産業革命の波が押し寄せ、稀となる超長期的転機に遭遇しています。
近代以降は中央集権が続きながらも、細分化するとその頂点、盛夏は1900年代前半に迎え、バブル期までが秋の時代(対象を軍事から経済におきかえての中央集権による計画的地方発展、大企業を中心とした封建的企業文化の絶頂)、現在は冬の時代(巨大都市一局集中、魂の喪失的形式主義)の最後的気分が漂います。次は春、地方、農村での原始的創造局面です。災害対策、保健・衛生などにはデジタル化による中央と地方の連携が進められています。
次のイノベーションを起こすのは今の子供であり、サッカーも野球も歌も気兼ねなくできることが待たれます。来春くらいになるのでしょうか、何かあったらその時です。