国際情勢と北方領土問題
足下で国際情勢は大きく動いており、内外で転機を迎えています。
18日のAPEC首脳会談では初めて首脳宣言の採択が断念されました。
米国が対中政策を硬化させたことにより、世界経済は下振れのリスクシナリオが実現したと見ます。国際金融市場は荒れ模様が続きそうです。経済に道義はあっても道徳はありません。
公開情報からは以下のことが類推されます。
米国では、経済がこれまで金融資本の手に帰していました。政治・経済においてウォール街へ決定的に挑戦する機運はなかったものの、新しい勢力がこれを一蹴しつつあります。
覇権国としての経済において、餓死か壮烈な死かという深刻な対立とその選択を迫られ、この勢力は分断された米国の内政を調整していく上で決定的な役割を果たしそうです。その認識がされる時が来たようです。
中国経済は、10月の小売統計が悪化しました。持ちこたえていた消費が崩れ始めた兆しであるのか、次月が注目されます。政府はインフラ投資により景気のテコ入れを目指しているものの、数か月の先行性が見られる社会融資総量の伸びは鈍化が続き反転の兆し見られません。
輸出に先立つPMI新規輸出受注は46.9にまで落ち込みました。想定以上の下振れは、米中貿易戦争の深刻化によるセンチメントの悪化などが要因です。リーマンショック後の最低水準である43.1へ時間をかけ向かうのか、こちらも注目されます。
中国政府による経済運営は、長年に渡る拡張型の金融財政政策により下支えの余地が低下していると見られ、米中対立の激化を受け苦しい状況が続きそうです。
日露間では平和条約の締結と北方領土問題が重要な局面を迎えています。
今に限れば平和条約の締結は日露そして中と対立する米にポジティブではと思われます。
さらに米国との緊張が高まる中、日本が好意的中立者となるか否かは中国にとり生死の問題となりうることも重なります。
一つ言えることは、米国による経済面での中国への宣戦布告が、もっと過激な政策発動の始まりとなるか、安倍首相が周辺国にいろいろ訴え王道を行く日本に後押しされ協調へと向かうかを待つことなく、長年に渡り抱えてきた北方領土問題を解決し平和条約を締結する好機でありそうだということです。
もう一つ、日本にとり貿易総額は中国が最大という見方から、中国は一帯一路というその構想の大きさにおいて、自らに過大な要求をしないよう願うことは差し支えなさそうだということです。