G20と貿易戦争
G20と貿易戦争 今年に入り米ドルは人民元に強含んでいます。為替レートは2国間の景況感格差に影響されます。貿易戦争は米が優勢、と幾分であれ市場は判断している可能性があります。 週末に米大統領は中国からの米国向け全輸出製品に相当する5000億ドル分に関税かける用意がある、と発表しました。 大雑把に経済学的因果律を無視し、米の主張は、米ドル基軸体制で樹立されたグローバリズムにフリーライドされ、自国が不利益をこうむり、大多数の米国人が新興国との相対的な比較、方向性において生活に苦しむことはけしからん、です。 閉幕したG20の共同声明は、世界貿易への懸念を示しながらも具体的な抑止策は示されません。米国による覇権への意思は固唾をのんで見守られています。 19世紀末からの約半世紀、資本主義の政治に耐え切れなくなった世界において、貨幣は知性を破壊し、デモクラシーは自らを破壊に向かわせました。 歴史から、一つの権力意思を倒すのはもう一つの権力意思です。 覇権国としての意思を示し、その待望にこたえられるのであれば、米大統領は完成されたドル基軸体制が破壊されることも省みない姿勢を示し、貿易戦争を敢闘するのかもしれません。 国際貿易(“自由”と“公平”)の秩序に向けた意思は、数学的因果律だけではなく、感情、衰退と勃興への予感、運命にゆだねられます。 暗号通貨の忍び寄る影が見え、米国の世界に占める相対的な経済力が低下する中、ドル体制も未来永劫は続かず一つの文明となり終わります。 ドルがなお強い今、米はドル体制を存分に利かせ、台頭する中国に優勢に展開し決着をつけるよう迫っているかに見えます。 中国の国家資本主義は人民元基軸体制の確立に向け正念場を迎えます。 米中それ以外の国地域、どこがどう応えていくか、 壮絶なチキンレースの行く末において、もし貿易秩序が破壊されることがあるならば、最後に残るのは救済を求めるこころ、英雄、騎士道的な名誉、崇高なものへのあこがれ、さもなければドル基軸に換わりうる構想の実現です。