米国の金融政策はタカ派色を強める
世界景気は回復が続いています。グローバルPMI(マークイットIHS)を見ると足元ではコロナ禍の緩和によりサービス業が回復を牽引し、製造業はアセアンなどアジア諸国の生産が急回復しながらも欧米を中心に供給制約が足かせとなり緩やかに拡大しています。
注目される米国の物価は11月の消費者物価が前年同月比+6.8%となり上昇が続きました。FOMC(連邦公開市場委員会)では議長がタカ派色を強め、市場はFedによる債券買い入れ縮小の前倒しと、来年半ば頃からの利上げ局面を見込んでいます。財市場での供給制約緩和やFedのインフレファイターへの姿勢転換により、来年後半には米国の物価上昇圧力は弱まり、小幅な利上げにとどまるとの見方が優勢です。ただ、Fedの政策変更が後ずれ気味であり、構造要因となる賃金上昇圧力は燻り続け、他国・地域の中銀はFedに追随しそうなことから来年のグローバル金融市場の変動は今年より大きくなりそうです。
2008年のリーマンショックを経てその後数年の波乱相場は欧州ショックが主要因となりました。来年、主要国の中央銀行が巻き戻しを始めた場合、コロナ禍で傷んだ中南米など新興国の動向が注視されます。ブラジルは足元で干ばつや物価高が重なって景気後退に陥るなどしており、国・地域間での景況感格差は拡大しそうです。懸念される中国不動産業界発ショックは政府による不動産市場引き締め策が緩和され、金融は米国と逆方向になる緩和的スタンスに変更され、過度な懸念は後退しています。リーマンショック後の東南アジアは海外投資を呼び込み大きく発展しており、コロナショック後にどうなるか注目されます。米中摩擦の行方が影響しそうです。
日経新聞に日本は半導体や医薬産業で90年代以降の敗戦により世界シェアを落とし、それは資金調達面での金融戦に敗北し研究開発、設備投資に欠いたのと、外圧で委縮、衰退したアニマルスピリッツによると論評がありました。
歴史をみると第1次、2次産業革命時は和魂漢才に続き和魂洋才で波に乗り、習うなら今回の産業革命でも資金面に加え、自前に加え積極的な海外交流と技術導入、交換のための技術開発が必要になります。
150年前と明らかに違うのは人口年齢ピラミッドが逆転していることであり、あまり違わないことは過去の個人記憶を甘味料としない世代が増えているだろうということです。アニマルスピリッツは、人口構成が若く、また危機感の蔓延と成功を繰り返した幕末から昭和は今より醸成されやすかったのではないかと思われます。アニマルスピリッツの彼岸に安楽、平和があるならば、高度経済成長を経て一度彼岸に渡り、またそれを発露させるのは、文化、社会によるのか、危機感、夢・欲望などの個人的・集団的意識・無意識によるのか、さもなければ好奇心の発露を促す発見が増えればと思います。再来年発足予定の子ども家庭庁に注目されます。
動物界、有史において人口ピラミッドの逆転現象が稀であったとして、植物界では東北・出羽三山で見られる樹齢数百年の森林群など身近に思い起こされます。好条件下で達成されたその神秘性、植物的確実さは、動物界では“探す”と“見出す”の違いであり、第四次・五次産業革命の世界競争下で、新技術のスピード実用化、地味で埋もれていた成功開発の発見に活かされたらと思われます。
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