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日本の金融・経済政策と第4次産業革命

以下、長文、雑感となり失礼いたします。

米中覇権争いのはざまで、次世代を考えた日本のかじ取りは難しさを増しています。


最近、ドイツが対中宥和姿勢を硬化し、西側諸国による対中包囲網が強化されていることが報道されました。欧米自由主義圏と中国、ロシア、新興国経済のデカップリングの方向性が決定的となりつつあります。


中国の購買力平価で見たGDPは2014年に米国を上回り、コロナ禍を機に名目ベースでも2025年頃の逆転が予想されています。

最大の貿易相手国であり、巨大な成長市場である中国と、安全保障に重要な米国との関係において、今後、人民元貿易圏の形成動向(その盛衰には日本の意思も反映される)、円の信認とそれを補完する覇権国のあり方、は判断基準として優先順位を上げそうです。

同時に、8月末に退陣を表明した安倍首相により両国との関係は良好な現在において、コロナ禍での資源の再配分という点においても国際競争力のある産業育成をしやすい環境にあることが思われます。

明治期に、日本は古い叡智をもってして異文化、異文明を自文化と混合し、時代的圧力の下に浸透させ、“世界史”の中で大成功を収めたと評価されています。今後の日本が、経済面で安定するには、高付加価値を生み出すこと、それは第四次産業革命の流れに乗り遅れず、リードすることであり、米中技術をとりいれ、民生化を進めていくことが時代の求めと思われます。

1.通貨安政策

通貨を血液とし、産業、生産力を体躯にたとえるなら、足腰を鍛えることなく、短期的に経済を好調にするにはカンフル剤、輸血が用いられ、単純化するとそれは財政のふかしや金融緩和になります。根本的な解決を図る時間的余裕を作れます。

2012年末に発表されたアベノミクスの1本目の矢により、長い不決断の時代は終わりました。足元で、日米欧主要国で導入された大規模金融緩和、その先にある通貨安政策は、自国の賃金水準を他国に比べ相対的に安くし、相対的に安価となった労働力により観光や財輸出を有利に進める政策です。一定の通貨価値が担保されている、もしくはハードカレンシー国で効果が発揮される政策オプションです。

デメリットは、価格高騰を招きやすいことです。①通貨安により輸入品価格が上昇し、生活必需品が賃金以上に値上がりした場合は生活困窮を招き、②銀行融資を通じて株・不動産が高騰した場合は所得格差を招きます。世界的に必需品の供給能力が拡充した現在において、前者というよりは、仮需の発生に対して供給の限られる後者の悪影響が増しています。

2.米中覇権争いと通貨

注意深く観察する人は、米国による半導体関連供給の禁輸措置発表などによっても、最近のTikTok措置に対する中国政府の屈しない姿勢、網の目のように新興国へ張り巡らされ続ける対外政策、根幹的な基盤を確立した産業集積などにより、スピードを変えても中国台頭の大きな流れを変えるには至らないだろうということを知っています。中国経済の不安要因は、生産面での労働力、資金、技術というよりは、需要面を通じた資産価格の下落と社会の安定、米ドル貿易体制における立ち位置などに収斂されていくかと思います。

米ドルが基軸通貨であることは、金融政策を通じた国内コントロールに加え、決済通貨であることによる他国への影響力保有も意味します。経済において筋肉を産業とするならば血の流れをコントロールできるということです。

米国は、覇権国としての特権を、現代社会の生命線である原油取引に際しての値決め通貨であることへ還元し、米ドルが世界の基軸通貨であることを担保してきました。

中国が米国を超えるには、ここを凌駕、少なくとも並ぶ必要があり、デジタル人民元の普及、新興国、中南米産油国を影響下におく試みがここ10年なされているのは周知の通りです。

西側と中国のはざまで、日本が安定した国民生活を維持するには、自由貿易体制と市場、金融緩和策などを打つ前提となるハードカレンシーとしての円の価値の維持が必要条件であり続けます。

8月末に安倍首相が退陣を表明しました。今月10日付の日経新聞に、豪州前首相の寄稿文が掲載され、その功績、例えば諸外国をリードし、自由貿易の維持に向け諸外国首脳をリードしたことほか諸々をわかりやすく紹介していました。すばらしい成果を挙げられたのだと思います。早く健康を回復され、またの活躍を期待したいです。

3.第4次産業革命

20年、30年先を考えるにあたり、国力の維持には、高付加価値の産出能力が起点となり、それは効果的な金融政策の前提となる円の価値を強め、覇権国との同盟関係の維持に寄与していくことだと考えられます。


産業と通貨の力はコインの裏表であり、そのうち目に見えるのは通貨の方で輸入物価の高騰、資産価格の下落により国民生活全体は困窮に向かい、また逆にもなります。通貨の暴落は見えないところから忍び寄り一瞬にして生活を破壊するものの、経常黒字を維持できている現在に懸念するには早いでしょう。

20年、30年後の経常黒字の維持、高付加価値産出の前提となるデジタル化は、国民、地方レベルで達成され、土地と結びついた新しい文化となり、中央に運ばれ、また地方に還元された時、国力となり完成に向かうと思われます。

全国レベルでのデジタル化への課題は大きくあります。たとえば高齢化社会において、高齢者向けパソコン教室は経営が難しいようです。マウスの使い方、ボタンの押し方から始まり、習熟してきても体調不良により欠席となり途中で終わってしまうことがあり、成果に見合わせるにはコストがかかると聞きました。

解決するには、音声による命令ですべてデジタル作動するようなサービス、例えばこの書類とこの書類をウェブのこの項目で申請したい、と発声すればすべて完了できるようなサービスが求められそうです。有名なロボット・ペッパー君の進化、日本語音声認識によるプログラミング言語への変換ソフトやアプリの改良などがイメージされます。

高齢化、人口減少に直面する日本において、ニーズが高く、自動車ほか国際競争力を維持している製造業分野を中心に、こうした製品の開発は注力されているところであり、その加速が強く期待されます。

これら高付加価値製品の創造、生産、販売は、国際競争力を増し、経常黒字と円の価値維持に寄与し、一方、自給自足、自助の生活が簡単にできるようになり、資源との関係において人口は少ない方がよい社会がくると思われます。目先ではコロナ禍を機に、自然とのふれあい、ファミリー、健康がこれまで以上に重視されようとしており、ペッパー君のようなロボットの進化はこの流れを加速しそうです。“令和の文明開化”のようなものです。

光と闇は混合し、二つの力である意思と悟性は戦います。デジタル化への意欲と思考は自由な力であるのでしょうか。先人に従うと、われわれはこの戦いを行うべきであって忍従すべきではない、ということだけいえそうです。

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