円高が進行
11日、日銀政策委員による“実質金利は極めて低い”“中立的金利水準を探るのは極めて難しい”などの発言が市場に伝わり、円高が進行しています。1ドル140円台となり、今年7月上旬の162円台から2か月程で20円以上のドル安円高となりました。
中立的金利水準とは、金融引き締め的でもなく、緩和的でもなく、物価と景気がともに安定的に推移することが期待される金利水準です。“中立的金利水準を探るのが難しい”ということは、統計データを利用した計量分析により、金利をどの程度上げると物価や景気を押し下げるといった感応度がわかりにくいということです。長年に渡った異次元緩和により有効な統計データがとりづらい、諸変数の因果関係が複雑であり、物価への心理的要因が強い、日本の金利水準よりも海外要因の影響が遥かに大きい、など背景に考えられます。
要するに日本の金利水準は低く、どの程度利上げすべきかはまだ判断できかねる状況にある、という解釈となり、急速な円高が進めば利上げは控えますよ、という事後調整を期待する前に、ひとまず利上げの打ち止め水準が見えてこない以上、円はまだまだ高くなるかもしれないから買っておこう、ということになります。
為替相場は二国間通貨の関係により変動します。米国サイトでは、米国長期金利の低下傾向が続いています。これまでに発表された9月の米経済指標は、6日の雇用統計が強弱まちまちの内容となり、今月18日のFOMCでは25bpの利下げと50bpの利下げに市場の見方は割れました。11日の消費者物価指数は強弱いりまじる内容となり、発表後は円高傾向を維持しています。残す小売統計でよほど強い数字が出ない限り、目先は米ドル安円高バイアスが強い展開となりそうです。
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